院長 コラム Vol.4
Vol.4 #予防の話 #虫歯の話 こんにちは。 前回に引き続き、虫歯予防のお話をさせていただきます。 感染者数が減ってきた昨今ですが、新型株も発生したりと、まだ効果的な治療薬の確立していない新型コロナウィルスとの戦いは継続しています。 Vol.2ではウィルスに対する手洗いやうがいに相当する虫歯の予防、ブラッシングのお話をさせていただきました。 ではワクチンに相当する予防はないのでしょうか? ワクチンというものは、人体の中にある免疫という機能に細菌やウィルスの形を覚えさせることで、体に入ってきた細菌などをスムーズに排除できるようにするものです。社会人が社会の荒波にいきなりぶつかる前に必要なことを学校や塾で予習してしまうような感じでしょうか。 残念ながら、虫歯の細菌に対するワクチンは存在しません。前回のお話で出たように、お口に中には様々な細菌がたくさんいます。これら一つひとつに対して予防接種はできないのです。 じゃあブラッシングしか予防が無いのかというと、そうでもありません。 虫歯は歯が溶かされることで細菌が体の中に入ってきます。それでは歯を溶けにくくしてしまおうという予防方法がフッ化物の塗布になります。 数年前と今の歯磨き粉で異なる売り文句が追加されたのに気づかれた方はいらっしゃるでしょうか? 最近の大人用歯磨き粉には1450ppmという数字がよく書かれています。 こちらは虫歯予防用のフッ化物の濃度で、実は数年前に最大含有量が増えました。 以前は1000以下の濃度で規制されていたのですが、フッ化物の安全性と虫歯予防効果が認められたため上限の引き上げがされたのですね。 フッ化物の効果は、歯の表面にあるエナメル質と結びついて、歯の耐酸性を向上させることで虫歯に溶けにくくなるというものです。 フッ化物は歯科では昔から虫歯予防に使われており、海外や一部の地域では上水に添加して経口摂取することで虫歯を予防する方法も取られていたりします。 とはいえお薬ですので、過ぎたるはなお及ばざるが如し。過剰摂取は毒になります。 ですが皆様、一応はご安心下さい。国内では間違って摂取しても確実に安全な量で設定されて市販されております。 また歯科医院での使用しているフッ素は濃度が高く、一回の使用で効果が出るのですがその代わり、使用量を計算して使っています。 ただそれでも、小さなお子様がいらっしゃるご家庭で、度々話題に上がるのが「子供が歯磨き粉を食べてしまった!!」というものがあります。 基本的に市販されている歯磨剤はほとんどの場合で中毒量に達しない量で販売されているのですが、それでも何か起こると心配になります。 今回の別記事に、簡易的なフッ化物中毒の計算の仕方を掲載します。ご参考いただけると幸いです。 また、フッ化物に限らず、タバコや薬物/化学物質の誤摂取による中毒に関する相談窓口もあります。 「日本中毒情報センター 中毒110番/電話サービス」のホームページをご参照ください。 それでは、このあたりで基本的な虫歯予防のお話をひと段落しようと思います。 次回から歯周病の予防のお話をしていこうと思いますので、興味のある方は気長にお待ちくださいませ。